ベランダでタバコを吸っている隙に子供に鍵を掛けられた!

禁煙には、3という数字が深く関わってくるらしい。やめて一番つらいピークが、3時間後、3日後、3週間後、3ヶ月後なんだそうだ。だけど私には禁煙なんてきっと無理だ。1日だって吸わずにいられたことがない。妊娠中だって夫や産婦人科の先生には内緒で吸っていたくらいだから、ニコチン依存症は相当なものかもしれない。幸い子供は無事に産まれてきてくれたので、妊娠中にタバコを吸っていても意外に大丈夫なんだな、と思った。だけど、お腹にいたときに苦しい思いをさせていた報いを、あんな形で受けるなんて――。

あれは子どもがまだ1歳のときの話だ。私はそのときももちろんタバコを止められずにいた。せめて子供に副流煙がかかるのは避けようと、ベランダで吸うようにしていたのだが、私が外に出た瞬間、私の後を追ってきた子供にベランダのドアの鍵を掛けられてしまったのだ!あっと思ったときには私はベランダに閉め出されてしまった。真冬の夜9時である。私は思わず子供に、「開けなさい」と怒鳴ってしまった。だけど1歳児にそれがわかるわけもなく、子供は私に怒られたことにショックを受け、大泣きしてしまった。そして私がベランダ越しにいることに納得がいかないといった様子でさらに鳴き声は大きくなった。とてもじゃないけれど、抱っこしない限りは泣き止まないだろうという勢いだ。その日は真冬である。タバコを吸うだけだからと半纏だけ着て出てきた私は、次第に凍えるような寒さにぶるぶる震えだした。足元はつっかけのサンダルである。しかもこんなときに限ってスマホは部屋の中だ。私は意を決して、まだ数回しか挨拶を交わしていないお隣さんをベランダ越しに呼んだ。事情を話すとマンションの管理人さんを呼んでくれて、合い鍵でドアを開けてもらうことができたのだった。子供は鼻水と涙で顔がぐしゃぐしゃだった。それを見たとき初めて、本気で禁煙しよう、と思えたのだった。